在宅酸素療法

在宅酸素療法とは

当院では、酸素吸入が必要な方に在宅酸素療法を提供しています。一昔前まで、酸素吸入は入院しなければ受けられない治療法でしたが、近年ではご自宅内でも長期間、酸素吸引療法を受けられるようになりました。在宅酸素療法は英語で『HomeOxygenTherapy』と言います。省略して『HOT(ホット)』とも呼ばれます。この療法は、たばこ病(COPD)や結核後遺症や間質性肺炎などの慢性呼吸不全や、慢性心不全などの心臓疾患を持っている方の低酸素血症を改善するために行われます。
低酸素血症になっている方は最初の内は息苦しさを感じてますが、時間が経ち徐々に感じなくなってくる方もいらっしゃいます。これは、低酸素が治ったわけではなく、身体が息苦しさを感じにくくさせている状態です。このような長期にわたって低酸素状態になっている方は最終的に不可逆的な肺高血圧という状態となり治らない状態となります。
医師の指導の下、HOTをしながら息切れと上手に付き合うことができれば、入院せず住み慣れた環境の中で、趣味や社会活動、旅行、お仕事を継続することが可能です。
HOTは適用基準に基づき保険を使って導入することができます。HOTの早期導入には前向きでない方もいらっしゃいますが、早期導入によりQOL(生活の質)だけではなく、生存率を改善させる効果も報告されており、1985年の保険適応以来、HOT患者数は増加しています。
息切れなどの症状についての相談や、HOTの使用についての相談も適宜行っております。

在宅酸素療法の
健康保険適用基準

在宅酸素療法の健康保険適用基準在宅酸素療法を保険診療で受けるには、一定の条件に当てはまる必要があります。医師がパルスオキシメーターで酸素濃度が低いと判断した場合や、体を動かしている労作時に低酸素となっている場合に在宅酸素療法を健康保険で受けられます。パルスオキシメーターは指の先端に付けるだけで、酸素量を簡単に測る機器です。測定中に痛みや不快感は起こりません。

在宅酸素療法が
適応される疾患

慢性呼吸不全の症状がある方は、在宅酸素療法が必要です。慢性呼吸不全の原因には、COPD(慢性閉塞性肺疾患)や肺結核後遺症、気管支拡張症、間質性肺炎、職業性肺疾患(じん肺など)などが挙げられます。
肺は空気から酸素を吸い、二酸化炭素を出す重要な機能を担っています。肺が傷つくと血液の酸素量が少なくなったり二酸化炭素が過剰に多くなったりします。このように血中の酸素濃度が低くなる状態を呼吸不全と言います。呼吸不全が1ヶ月以上続くと、慢性呼吸不全の診断がつきます。

在宅酸素療法の
保険適用

在宅酸素療法を健康保険で受けるには、以下の条件に当てはまる必要があります。健康保険が適用されましたら、受診時に自己負担分の費用を支払ってください。

対象疾患

  • 肺高血圧症
  • 高度慢性呼吸不全例
  • 慢性心不全の対象患者
  • チアノーゼ型先天性心疾患

在宅酸素療法の効果

呼吸不全を伴う肺疾患そのものを治すことはできますが、一度傷ついて壊れた肺の組織を元に戻すことはできません。よくあるケースとしては、コロナ肺炎後に感染はコントロールできたが感染による炎症によって器質化と呼ばれる間質性肺炎を併発し肺の組織にも障害を負った状態となると肺の呼吸不全になると低酸素血症に陥り、全身のあらゆる機能や臓器に酸素が届かなくなるため、ダメージを起こします。その結果、あらゆる疾患のリスクが高くなり、生死に関わる事態にまで進行してしまいます。低酸素血症がある場合は、酸素療法で不足している酸素を補給する必要があります。酸素療法は、息切れや呼吸困難を改善させ、全身の健康維持や疾患の予防にも繋がります。その結果、入院回数も少なく済みます。また、酸素療法によって脳内へ酸素が行き渡ると、集中力や記憶力、注意力も良くなります。

在宅酸素療法の流れ

1診察

診察在宅酸素療法を始める前には、症状や経過を詳しく聞き、必要な検査を行います。そこから経過観察を行った上で、在宅酸素療法が適切な治療法であることを確かめます。その後には、患者様と同居されているご家族へ、疾患や在宅酸素療法の内容を分かりやすく説明します。
在宅酸素療法は、患者様とご家族の方が正しく理解することが重要視されている治療法です。何か質問がありましたら、どんなことでも遠慮なくお聞きください。

2処方と練習

酸素吸入量や吸引時間につきましては、患者様と相談してから決めます。酸素療法機器の使い方や過ごし方、注意点、緊急時の対処などを詳しく説明してから、使い方の練習を行います。

3機器の配送・配置・点検

酸素療法の機器はご自宅へ郵送されます。医師からの指示を守りながら設置・点検を行い、酸素療法を始めましょう。

4定期的な受診(月1回)

定期的な受診(月1回)在宅酸素療法を受けるには、1ヶ月に1回の頻度で通院していただく必要があります。受診時には、使用状況や日常生活、呼吸状態などについてお伺いします。質問がありましたら、些細なことでもお気軽にお聞きください。

在宅酸素療法の費用

1割負担 約7,700円
2割負担 約15,500円
3割負担 約23,100円

在宅酸素療法の
機器について

酸素はカニューラ(チューブ)を通して、鼻へ入ります。カニューラは酸素濃縮器や酸素ボンベに繋がっており、そこから酸素が供給されます。酸素濃縮器は、空気から酸素を濃縮して供給する機器です。外出する際は酸素濃縮器ではなく、携帯用酸素ボンベで酸素をもらいます。

ご注意

前もって決められた酸素量を適切に吸入することで、身体に必要な酸素が供給されます。それで心臓及び全身の臓器や筋肉などの機能・状態が保たれます。
また酸素吸入は薬と同じように、医師から処方された量を吸入しないといけません。
いつもと同じ量を使用していても息切れなどの症状が起きている場合は状態が悪くなっている可能性や別の疾患を合併している可能性があります。その場合には医療機関にすぐご相談ください。
酸素は、他のものの燃焼を助ける性質(支燃性)があり、火元の近くで使用すると引火もしくは爆発をすることがあります。
私が経験した症例では。HOTを使用しながらコンセントの修理を行っていたところ火花が散り顔面の前で大爆発が起き顔面並びに気道熱傷を生じ救急搬送されました。
安全に治療を受けるために、酸素吸入を行う際は火気から2m以上離れるもしくはHOTを使用しての料理をしないなど注意が必要です。
また、酸素吸入療法を行いながら喫煙するのは厳禁です。火を使わない電子タバコも同様です。

在宅酸素療法の
健康保険適用基準

在宅酸素療法を健康保険で受けるには、適用基準に当てはまる必要があります。
そのために必要な検査としては①パルスオキシメータ検査②動脈血液ガス検査③時間内歩行試験行い、自覚症状と合わせて総合的に判断します。これらの検査で低酸素が見つかりましたら、在宅酸素療法が健康保険適用となります。
パルスオキシメーターは、指の先端に装置をつけることで、痛みや不快感を伴わずに酸素量を簡単に測る機器です。
動脈血液ガス検査は通常の静脈からの採血ではなく動脈採血を行い血液中の酸素や二酸化炭素を測定します。手首もしくは股の付け根の鼠径と言われる部分から採血を行います。
時間内歩行試験は別名6MWT(6分間歩行試験)と呼ばれ安静時には低酸素が認められない方の中にも歩行の負荷をかけると血中酸素濃度が低下する潜在的な患者さんを見つけたり、すでにHOTを使用している方で労作時のHOTの量を調整するために行う場合があります。スタッフと自分のペースで歩いていただくだけでわかりますので大きな負担は有りません。

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